楽屋に暖簾を垂らしているのを見て、どのような効果があるのか疑問に感じた人もいるでしょう。
視界を完全に遮るわけでもないので、そう感じるのも無理のない話です。
楽屋は多くの人が集まるため、個々のテリトリーが曖昧になりやすいという欠点があります。
自分の出番に備えて精神統一したい場合などは、その状況をわずらわしく感じるかもしれません。
そのような場合でも、そこに暖簾を設けてあるだけで、不可侵の領域として暗黙の了解を得られるようになります。
いわば誰でも手軽に結界を構築できるというわけです。
互いの存在を隠すようなものでもないので角は立ちません。
良好な関係を保ったまま、しっかり区切れるようになることが大きなポイントです。
さまざまなデザインのものがあるため、本人のテイストに合ったものを用意することも難しくありません。
運営者の方針に沿って決めることも多いですが、出演者の意見を積極的に決める場合もあります。
このように選択の幅が広いのは、デザイン面の柔軟性が高いからに他なりません。
また、着脱が容易というメリットもあるため、興業の内容によって切り替えるケースもあります。
複数のものを楽屋にあらかじめ用意しておくと、気分によってアレンジすることも容易です。
気持ちの入れ替えを促す作用も!
暖簾のもう一つの効果として、気持ちの入れ替えを行いやすいことが挙げられます。
役者などの出演者は、自分の出番ごとにシーンに合った演技をしなければなりません。
そのためには、しっかりメリハリを付けられる環境を用意しておくことが望ましいです。
しかし、楽屋という強度の空間において、実際にそうするのは難しい場合もあるでしょう。
これが不可能なら、その前の気分を引きずったまま再登場することになるのです。
そのようなリスクを避けるには、現状の感情を払拭できるアイテムが必要になります。
それこそが楽屋の暖簾であり、使い方次第でその作用は大きくなっていきます。
たとえば、青がメインのものであれば、気分をクールダウンさせる効果を期待できます。
戦のシーンが終わった後などのリフレッシュにうってつけです。
反対に、オレンジなどの暖色系にすれば、温かき気持ちを喚起できます。
家族団らんのシーンなどを迎える前にちょうど良いでしょう。
このように、心理的なアプローチを意識すれば、気分に対する働きかけをより積極的に行えるようになります。
ですから、デザインを決定するときは、楽屋でどのように感じてほしいのか決めておくことがポイントです。